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運命で、生きてる人。
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name : ニコラス
love :変装と料理

「ウオノメにタタリメ!」
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珍しく早く起きて、ホイップクリームに苺を乗せたパンケーキを焼いて、新聞を読んで、洗濯をして、メールをチェックして、清々しい午前中を過ごした。



気がついたら午後で、私は一人、国立新美術館のテラスの4人掛けのテーブルでバナナラテを飲みながら、ナナミちゃんを待っていた。
文化庁メディアアート芸術祭最終日。で、日曜日。
人、人、人。


カフェ コキーユは中も外も満席で、四分の一しか占領していない私は贅沢だった。
四分の一贅沢族は私の他に2人いて、彼らはビールを飲みながら、ぼうっと眼前の緑を眺めていた。ナナミちゃんがだいぶ遅れると連絡が入り、私は持っていた本を開く。


しばらくして、丁度本の内容がヨーロッパの大学史についての項にさしかかった時、後ろで扉の開く音がした。
ちらっと視線をやると、初老の夫婦がティラミスとコーヒーを抱えてきょろきょろしている。

生憎1分前に空いたテーブルは、ジュースを待つお留守番の女の子が座っていた。








「あ、あの、 私一人なので、よかったらここにどうぞ。」


いそいそと立ちあがる。


「あら、すみません。では、ご一緒してもかまいませんか。」


ちらっと見えるえくぼがチャーミングだ。


「い、いえ、私はあちらに移りますから、」






塀沿いに並べられた椅子に改めて腰をおろし、老夫婦の背中を眺める。
程なくして彼らは、今しがた観てきたらしい、加山又造展の感想を語り合う。
奥さんはどうやら今日ここに来るのをためらっていたようである。彼女は「いつもの通り家にいる休日」を例に漏れず今日も全うするつもりだったことをコーヒーの湯気を見つめながら説明した。
しかしふいに顔をあげると、「でも、あんな素敵な絵を観られるなんて思わなかった。今日は連れ出してくれてありがとう」と、嬉しそうな声色で旦那さんに言った。


私は胸がじんわりして、テーブルを譲った自分を褒めた。


先日私はトーマスに、熟年離婚の話をして、「日本ではそんなことがあるのか!」と、彼を驚かせた。
次、会った時は、今日の出来事を話そうと思う。









30分後に現れたナナミちゃんはすっぴんだったが、ぜんぜんすっぴんに見えなかった。
二人で人波に揉まれながらインスタレーションを見て回って、(閉館時間になっちゃって残念ながらテノリオンは触れなかった;;)六本木にある素敵なイタリアンバーでご飯を食べた。

ナナミちゃんも私も、ろくな恋愛をしてなくて、笑った。
ナナミちゃんも私も、ろくに恋愛をしてなくて、笑った。


きっと、私は、いくつになっても美術館に一緒に行ってくれる人と、結婚したい。


エスプレッソが、苦かった。

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